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三平和男コラム「『働き方改革』の総仕上げ」
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2020年2月1日
今年は、働き方改革に関しての法改正が仕上げの年となります。
今までも、働き方改革に関して,各種法改正が実施されてきましたが、1月20日からスタートした通常国会では、さらに主要なものだけで5本程度の労働関係法改正案が提出される予定となっています。
具体的には、労働基準法改正案、高年齢者雇用安定法改正案、雇用保険法改正案、労働施策推進法改正案、労災保険法改正案などです。
最も注目されるのは、労基法改正案でしょうか。厚労省内で長期間にわたって検討されてきた賃金等請求権の消滅時効の期間延長問題です。現行の2年を3年に延長することが検討されています。これは、2020年4月の改正民法施行で賃金に関する債権の消滅時効が原則5年となるのに対応するものです。労働者の権利を守るため将来は5年への延長を視野に入れつつ、企業経営の負担が過大にならないよう、まずは3年への延長で制度改正の実現を図ることがねらいとされています。労務管理実務上大きな影響が予想されるにも拘らず、改正法の施行日を4月1日に予定しています。
次いで、高年法改正案が重要です。こちらは一般報道でもよく目にしますが、70歳までの雇用や就業支援を企業に努力義務化(いずれは義務化予定)するものです。
雇用保険法改正案と労災法改正案については、社会問題となっている複数の事業所で雇用されるマルチジョブホルダーの保護などに関するルールを設定しようとするものです。
労災法改正案では、副業・兼業先賃金も勘案して労災給付額を算出することになります。
これらの法案は、効率的に法案を成立させるために一括法案として2本にまとめられて国会に提出される予定です。
国が企業に対して、「働き方改革」を本気で実践していくことを求めていることが強く感じられます。
大企業だけではなく、中小企業も人事労務管理の大きな転換機を迎えたといえるでしょう。